人工衛星の光学追尾にハマってます。。

久々の投稿になります。以前からISSを手動の経緯台とテルラドファインダーを使って高射砲の様にバシャバシャと1眼カメラ使って撮ってました。でも、なかなか思うように撮れず、カメラ画像認識の自動追尾でやる方法が無いのかなあと検索していましたら、昨年の今頃にAstronomy Live (https://www.youtube.com/c/messierhunter/featured) というYoutubeサイトでメンバーになればSatTrakerという光学追尾ソフトを使えると分かったので、早速環境を整え、とりあえず出来るようになりました。(https://youtu.be/w2Ot7q6K_iM)

ただ、このソフトでは追尾カメラがDirectShowドライバでないといけないなど、いろいろ使いづらいのと、動作が不安定なところがあっても、作者が忙しい様で、改良があまり進まなく、不満がありました。

今年の2月ごろ、CloudyNightsで、閉ループ制御で人工衛星を追尾するソフト開発を改良しているので、興味ある人を募集しているという話を見つけ、コンタクトしてみました。すると同じiOptron AZ Mount Proを使って追尾するとのことで、テスターとして仲間に入れてもらいました。

このソフト pypogs(the PYthon Protable Optical Ground Station)は元々、人工衛星とのレーザー通信の為にESAで2019年に開発されGithub上で公開(https://pypogs.readthedocs.io/en/latest/)されているもので、その名のとおりPythonで記述されています。主メンバーはJPL(ジェット推進研究所)のエンジニアで趣味で天文をしているR氏と このソフトのオリジナル作成者で元ESAで現在MITのG氏というすごい人達です。

彼らとはDiscordというLINEに似たテキストや音声でコミュニケーションできるツールで、やり取りしています。もちろん英語なのですが、DeepL翻訳のプラグインを使うことで あまり苦も無く出来ています。便利な世の中になってきましたね。

最初はPCのPython環境確認、Githubからのpypogsのインストール、架台とカメラの設定など、手取り足取り教えてもらいながら実施してきて、実際にISS追尾でき始めたのは、3月12日でした。(https://youtu.be/QXI7orzas8M)右画面にクリオネの様なISSがフラフラと踊ってます。^^;

これをPIPPというソフトで動きを止めて拡大するとこうなります。(https://youtu.be/u-ioTUw78ow

4月に入ってからは、夕方観測が多くなったので、画像が良くない状態が続きました。また、MITのG氏もR氏とは別にオリジナルを改良したものをリリースしてきたので、それも確認するようになってきました。その場合架台はセレストロンのNexstarSEです。この辺の話は、また明日以降記載しようかと思います。

PPSプロジェクションユニットにレンズは不要でした。

昨日の記事でPPSプロジェクションユニットに、投影用のレンズが必要な話を書きましたが、今日になって、他のレンズの模索中に、LEDをある位置に置くと、きれいな縦線が画面の横に出来たのです。

その場所は、OAGの光を入れる穴のそばから4㎜位ずれた位置です。早速発泡ポリエチレン板を加工し、LEDを保持する円盤を作成し、取り付けてみたら良好な結果となりました。

これまで、遠回りしていたみたいで、半分がっくり来たのですが、これで、ZWO社のOAGを入手するだけで、他の部品も不要で、簡単な工作で良いので、このPPS発光プロジェクションユニット(PPS Flash Projection Unit)の作成ハードルが大きく下がったと思います。

OAGの光を入れる穴と LEDと固定用板。LEDが円盤の中心からずれた位置にあることがわかる。
LEDをつないで投影させたところ、奥のPCに右端が光った画像が見えます。

PPSプロジェクションユニット試作

年末にCMOSカメラを使った場合の掩蔽観測に有用なユニットを試作しました。

 なぜ、このようなものを作ったかといいますと、これまでのアナログCCDカメラに代わり、最近高感度高速特性を持つ惑星撮影用のCMOSカメラを使った掩蔽観測を行うようになってきたのですが、これにはSharpCapというソフト使い、時刻はこのソフトのTimeStampで記録していました。

 ところが、このTimeStampの時刻は、PCの時刻を元にしているため正確ではありません。それゆえ、GPSモジュールを使い、PCの時刻補正を行った上、GPSモジュールのPPS信号をLEDで発光したものを、観測の前後の時間に、望遠鏡の先端にかざして撮影することで、正確な時刻補正をしていました。

 ただ、常々、この作業が面倒なことと、実際の観測時とは異なる時刻に、違うフレームサイズ・レートで行うこと(1msecの時間分解能を求めるのにフレームサイズを小さくして1000fpsとか)が、実際の撮影フレームサイズ・レートに対し、正しく補正出来ているのか疑問に思っていました。

 理想は、掩蔽撮影と同時に画面の横の端で上から下まで縦長にPPS発光画像が、観測画面に被らず共存することです。 (望遠鏡の先端にかざす方法は、画面いっぱいに光が広がるので、共存できない)
 縦長が良い理由は、CMOSカメラ画像は 横方向スキャンにはほとんど時間差が無い が縦方向にスキャンに時間差があり対象星と同じ縦位置でPPS発光を読み取らないと、実際のタイミングにならないからです。

 これを実現する方法を探してみたのですが、望遠鏡の斜め前からコリメータを使ってカメラに投影する方法
http://www.occultations.org/meetings/NA/2017Meeting/Olsen_TalkSlidesShort.ppt
や、 小型化だが複雑な構造のもの
http://www005.upp.so-net.ne.jp/k_miyash/occ02/timer.html
がありましたが、手軽ではありません。

 1番目の資料中に、天体撮影に使われるオフアキシスガイダーの写真があり、これを通常とは逆向きにして、ガイダーカメラを入れる方から画面の端に画像を投影しては?とありました。ただ、どうやって画像を投影するかが問題で、これは2番目の資料のアイデア(ハイゲンス接眼レンズをばらして1個のレンズを投影に使った)で行けないかなあとも思いました。

 自分の持っているオフアキシスガイダーは9mm厚の薄型で良さげでしたが、プリズムを逆差し出来ない構造になっており、全体を逆向きにするには接続リングを工夫しないと難しそうでした。そこで、ZWO社のサイトで OAGの写真をみて見ると、プリズム逆差し出来そうな感じに見えました。価格も年末価格で$115だったので、思い切って発注。

 投影用に使うハイゲンス接眼レンズは昔の24.5mm径(ツアイスサイズ?)のものしか無いようでしたので、いつも通っている天文台で古い望遠鏡をたくさん持っている 台長さん に、いらないハイゲンス接眼レンズもらえないかと尋ねたら、8mm,9mm,20mmの3つを分けていただきました。この中で簡単にバラせたのは20mmのものだけで、8mm,9mmは出来ず。
 この20mmをバラしたレンズのどちらをどの様に投影したら良いかがわからなかったのですが、CMOSカメラの前に レンズをかざして、PCの画像が見える距離を探ったりして、接眼側のレンズが投影できそうなことがわかりました。これをきちんと保持する方法として、24.5-31.7mm変換アダプタをヤフオクで入手しました。

 そうこうするうちに、ZWO社からOAGが到着し、確認すると案の定、プリズムをカメラ側に逆差し出来ることがわかり嬉しくなりました。早速、ASI290MMのT2ねじに接続、プリズムの長さをCMOSセンサの近くまで引き出し、ハイゲンス接眼レンズの片側を24.5-31.7mm変換アダプタにさかさまに入れ、OAGに差し込んでみました。

 ASI290MMをPCにつないで、画像を見ると、右端から明るく光が被っていますが、なぜか差し込む光の加減で縦に直線状になるところがあります。これは!と思って、LEDを手で開口部付近をかざしながら探って観てみると、なんと光軸の中心から少し外れたところに、画面端が縦にきれいな直線状に光る場所があったのです。これはLEDの光がレンズで集光後、 ボケた 円形に形になりそれが、光軸の中心からずれたことにより、プリズムのエッジで半分に切られた状態になったと推測されます。
 この位置を忘れないよう、テープなどで仮固定、穴あけして型紙とし、加工しやすい2.4mm厚発泡塩ビを25mm径にサークルカッターで何枚か切り出したものを両面テープで重ね貼り、型紙位置に穴あけを行って、PPS発光LEDを差し込めば完成です。

 なお、撮影露光時間により、LEDの光量を変化させないといけないので、LEDには可変抵抗を接続したほうが良いです。

以上の様にして制作したのは下記写真になります。

全体写真。GPSモジュールのコネクタからPPS信号を出し、光量調整用可変抵抗を経由してLEDがユニットに接続されている。
望遠鏡側から見た内部写真。OAGのプリズムが逆に向いています。
実際に空に向けて撮影した画像。PPS発光が右側に縦に見えていますが、観測対象の中央部分には光が被っていません。

 現在、上記写真にある解析ソフトLimovieの作者の方が、このユニットを使用して時刻を正確に合わせる機能を作成いただいており、間もなく完成予定です。
 ただし、 1msecレベルの時刻合わせが可能となるには、どんな露光露光時間でも良いのでなく、今のところ3ms~333msの間の12種類の条件で撮影時間は1分から1.5分必要ですが、掩蔽観測ではそれくらい行うことが普通なので、問題無いと思います。

 このPPSプロジェクションユニットは、本体の入手性は良く、専門的な加工が無くて良いのですが、レンズの入手性だけがネックです。百均の双眼鏡の接眼レンズが候補ですが、固定方法が定まらず、まだ再現できていません。何か良い方法が見つかれば、紹介したいと思います。

電視観望

最近自分の中で熱が入っているのは電視観望で。上記写真は最近のスタイルです。

構成は架台がSkyWatcherのAZ-GTi、鏡筒はタカハシのFS-60CB、カメラはZWOのASI385MCにx0.5のレジューサー付与(実質0.72倍)、PCはNECのwinTABでSharpCaptureで見せています。

この架台のAZ-GTiですが、購入したのが4月3日ですぐに観望始められたのですが、アライメントをしても、対象星が数度ずれる位とても自動導入精度が悪かったので、がっくりしました。このときは本体の作成精度の悪さかと思い、代理店に電話しようと思ったくらいです。CloudyNightのサイトを見たら なんとコントロールソフトのSynScanPro ver1.15はバグにより導入精度が悪くなっているとのこと。改善されたver1.16のAndroidやWindowsにはリリース早かったのですが、iOSは3日遅れでやっと出ました。

ただ、このSynScanProは対象星をリストから選ぶタイプで、今までSkySafariのような星図から導入する形に慣れている私にとって使いにくいものでした。そこでiPhoneとiPadを連携させてSkySafariコントロールをトライしてみましたが、上手く行きませんでした。仕方なく、古いAndroidタブレットでSynScanProを動かし、iPadのSkySafariとリンクさせることに成功しました。

でも、なんだか大げさになってしまった感があります。。

高すぎて断念。。

昨年から検討していたイタリアのDynamic Optics社製のAOですが、やっと国内代理店から概算価格が提示されました。

ただ、その概算価格が想定をはるかに超える金額(安いドイツ車が買える)で、これまで聞いた性能に対してあまりにもコストパフォーマンスが悪く感じましたので、断念することにしました。

残りのStellar Products社製にかけることにします。

しぶんぎ座流星群の夜

2019年1月4日の晩、しぶんぎ座流星群の極大があるとのことで、カメラを自宅から北東の方角にセッティングし、撮影しました。

同時に撮影したUFOcaptureによる記録と照合すると、4枚流星が写っていました。

今回はそれらを含め、いつものタイムラプスにしたものです。

46P/Wirtanen彗星

今夜靄っていましたが、明日雨が降りそうなので、気になっていた46P/Wirtanen彗星を撮ってみました。尾があまり見えない彗星ですねえ。

EOS-6D SEO-SP4 ISO1600 20秒x18枚 135mmF2.8アポゾナー、 CD-1赤道儀 ステライメージ8、PhotoShopCCで処理 

C11ポチリました


将来新型AOを導入するにあたり、C8では小さく、C14は稼働率が移動撮影できないので、ヤフオクでC11をポチリました。古いですが、程度が思ったより良かったので今のところ満足です。
アリガタレールが今のアリミゾに上手くフィットしなかったので、アマゾンで安く買いました。
これから光軸調整していきます。

アマチュア向け本格的AOが開発進行中

今年、アマチュア向け望遠鏡に適用できる小型の通常(X-Y補正だけでなく、Focus、非点収差など高次補正する)AOシステムがイタリアの大学ベンチャー企業Dynamic Optics社で開発されています。
https://dynamic-optics.eu/applications.php?p=telescopes
この会社のAOの特徴は一般的な「可変鏡」で補正するのではなく、「可変レンズ」(Adaptive lensと言ってます)を使っていることです。
https://dynamic-optics.eu/products.php?p=adaptive-lenses
この方式だと鏡を使わずコンパクトに出来そうなイメージだったので、問い合わせてみました。
当初、Dynamic Optics社にC14望遠鏡でのAOを提案してもらう考えでしたが、望遠鏡により調整が必要で、現地据え付けに来訪するか、望遠鏡を送って組付け調整後、返送する案を提示してきました。
かなり大げさな話になりそうだったので、調整が要らない様、先方に実績のあるC11望遠鏡で提示してもらうことにしました。
しかし、やり取りしている内にいろいろ課題が見えてきています。
1.WFS(波面センサ)側に光の90%を持って行かれ、残りの10%で画像撮影になる。。
2.対象星が1等星クラスで300~400fpsで補正可能だが、2等星だと30~40fpsまで遅くなる。。
3.デフォーマブルレンズが気温0度付近で、僅かな球面収差が発生する。
1については、ビームスプリッタが9:1になっているのを5:5も可能にしてもらう。(切り替えできる)
2については、先方も懸念していて、PSFを求めて補正するやり方(ただし補正項目は低次のものに限られる)を使えば暗い星も対象に出来る模様。
この検証にはあと2週間くらいかかるとのこと。
3については、仕方ないと回答。(ヒーターとかで温めるしかない)
以後、やり取りは継続していきますが、いつ完成するかは見通せない感じです。

一方、最近まで知らなかったのですが、米国のStellar Product社は小型で安価な、シンチレーションキャンセラー「AO-2」を1990年代に開発、日本でも発売していたそうです。
2010年台にはPCを使ってより高次な補正すべく「AO-5」を開発していましたが、プロトタイプで終わってしまって、最近まで動きがありませんでした。
http://stellarproducts.com/about/personal/Stellar%20Products%20Adaptive%20Optics.htm

ところが今月になって、このAO-5の開発が進んでいることがアナウンスされました。
http://stellarproducts.com/adaptive/AO5lit.htm
最近の惑星撮影では、ラッキーイメージング法が主流だけど、良い空の下でもなかなか良い画像が得られない。
高速Tip-Tilt補正法で、やっと数%良い画像がキャプチャーできるレベル。
今回開発するAO-5による補正はTip-Tilt,デフォーカス、2種の非点収差を補正するもので、これにより、良い空では50%、普通の空で10%良い画像が得られるとのこと。
要は、AO-5とラッキーイメージング法で、大幅に歩留まりが上がるというものです。
対象の望遠鏡の口径は10inch(25cm)から24inch(60cm)。可変鏡は使わず、可動するレンズを使う(SX-AOやAO-8はレンズではなく平面ガラス)
対象の星は16inch(40cm)望遠鏡で9等星までとアマチュア用としては十分です。これはガリレオ衛星、天王星、海王星も対象になります。
解像度は0.3秒角(多分16inch望遠鏡で)が目標とのこと。
多分1年以内に発売にならないかなあと思っています。